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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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小津の映画の中で見つけたアドバルーンのある風景


音楽ではペダル・スティール・ギター、映画ではアドバルーンのある風景。現在のマイブームです。どちらも空気感は似てますね。青空にとてもよく似合う。

ペダル・スティール・ギターの聴こえる音楽はわりとすぐに見つかったり、あるいはいろいろと送っていただいたりしているのですが、アドバルーンはなかなか見つかりません。
でも、ようやくひとつ。しかも、なんと小津の映画で。
『早春』で「あゝそれなのに」が歌われていたので、絶対に小津の何かの映画でアドバルーンが出てくるだろうと思っていましたが、意外にも、もう何度も観ている映画でした。
映画は『秋日和』。1960年(昭和35)の映画。『早春』から4年後の映画。

この映画を観たのは、やはり”たまたま”。
つい先日、内田樹先生が、例のセクハラ発言をした議員はこの映画を一日一回観てセリフをすべて暗記すべきといったツイートを見て、思わず笑ってしまって、別にセクハラ発言をしてはいないけど(たぶん)、久しぶりに『秋日和』を観たら(例の議員さんたちは絶対に観ないでしょうけど)、なんとアドバルーンが出てたんですね。禍転じて福というか、何というか。

アドバルーンが見えたのは、会社の同僚である司葉子さんと岡田茉莉子さんが、会社のあるビルの屋上から、結婚式を終えた友人が電車で行くのを見送るシーン。2つのアドバルーンが、まるで2人に寄り添うかのように入り込んでいます。
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小津の映画の場合に”たまたま”背景にアドバルーンが映っていたというのは絶対にあり得ないこと。その2つのアドバルーンが2人の女性とどれくらいの高さで重なり合うようになるかをきっちりと計算して、最適の場所を見つけて撮影したにちがいありません。

それにしてもこのシーン、2人の女性は結婚する親友の女性をちょっと恨みがましく思っています。その2人の背後にアドバルーンというと、当然、美ち奴さんの「あゝそれなのに」の歌詞が、この映画では”歌われてはないけれど”、映画を当時、観た人の心の中には流れることを想定していたのではないかと思います。結婚なんて、つまんないぞって。
  空にゃ今日もアドバルーン
  さぞかし会社で今頃は
  おいそがしいと思うたに
  あゝそれなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

  どこで何しているかしら
  何か悲しい日暮どき
  想うはあなたのことばかり
  あゝそれなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

  ひとり出ているお月様
  窓で見ているこのわたし
  とぎれとぎれの針仕事
  あゝそれなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

  夜更けに聞える 足の音
  耳をすませば 胸が鳴る
  帰って来たかと 立ち上る
  あゝそれなのに それなのに
  ねえ おこるのは おこるのは
  あたりまえでしょう

ところで、アドバルーンのある風景とは別に、同じシーンで彼女たちがビルの屋上から見下ろした鉄道の風景がこれ。
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鉄道の風景もやはり気になります。
奥に見える緑とオレンジの電車は国鉄ですね。気になるのは手前の2両ほどの茶色い電車。もしかしたら東急の電車ではないかと思ってみたり。
こういうの、昔から東京に住んでいる人であれば、すぐにどこの駅かはわかるんでしょうね。蒲田、あるいは五反田? もしおわかりの方がいたら教えて下さい。

そういえば『秋日和』を観ながら思ったのですが、僕はますます佐分利信という俳優に惹かれるようになっていることがわかりました。映画の中では、今であれば結構セクハラととられても仕方がないような発言をいくつもしているのですが、何ともいえない人徳が感じられます。
例の議員さんたちと決定的に違うのは”大人”だということ。”おやじ”ではなく。
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by hinaseno | 2014-06-27 10:00 | 映画 | Comments(0)