(エンジン音が鳴り響く)
コイツはとにかくいかしてる、僕の409
コイツは本当に最高、僕の409、僕の409
1セント銅貨を何枚も貯金して
それから10セント硬貨も何枚も貯めた
いつかそのときがくるってわかっていたから
ピカピカの新車の409を買えるときが
さあ行け、もっと速く走れ、409
さあ行け、もっと速く走れ、409
だれもコイツには追いつくけない
僕の409に接触することもできない
さあ行け、もっと速く走れ
さあ行け、もっと速く走れ
これはビーチ・ボーイズの1962年のヒット・ソング「409」の歌詞。409とはシヴォレー409という車のこと。詞を書いたゲイリー・アッシャーが欲しがっていた車のことを歌にしたんですね。
曲の中で延々と繰り返されるのは”Giddy Up”という言葉。車に関してのスラングの1つ。もともとは馬に乗っている人が馬をけしかけるときに使っていた言葉のようですが、車を運転するときにも使われていたみたいですね。ただ、昨年出た『ビート・ボーイズ カリフォルニアの夢』に収められた歌詞カードを見ると、あいかわらず”Giddy Up”は「クラクラするぜ」になっています。”giddy”という単語の本来の意味である「目まいのする、目がくらむ」から訳しているようですが、運転中にクラクラしてたら危なくて仕方ないですね。
最初のエンジン音は409ではなく、当時ゲイリー・アッシャーが載っていた348 Chevyという車のもの。真夜中の2時にウィルソン兄弟の住んでいた家で音を出して録音したそうです。
作曲はもちろんブライアン・ウィルソン。はっきりいえば、そんなにたいしたことはない曲。でも、ここからほんの数年のうちにブライアンはとんでもなく素晴らしい曲を書くようになるのですから、その急激な成長ぶりには驚愕する他ありません。
ところで、この「409」という曲、もともとのシングル盤では曲を書いた人のところには「B. Wilson - G. Usher」と記載されていましたが、近年、発売されたCDに収められた「409」のブライアン・ウィルソンとゲイリー・アッシャーの間にマイク・ラヴの名前がきっちりと書き込まれるようになっています。これにはいろんなややこしいことが...。
それはさておき、先日来書いている「クレジット買い」のこと。この言葉を使われていたのはこちらの「酒冨ウェブ」というサイトを運営されているDennyこと奥山和典さん。
奥山さんは、僕のブログでも紹介した『VANDA』という雑誌の復刊に尽力された方。その『VANDA』の編集長をされていたのが佐野邦彦さんで、その佐野さんと奥山さんの対談が奥山さんのサイトに先日アップされて、その中で奥山さんが使われていたのが「クレジット買い」という言葉でした。
とにかくこの対談、興味深いことだらけだったのですが、特に面白かったのはお二人が初めていっしょにされた仕事のこと。それが佐野さんが昔されていたM&Mというレーベルから出した『Still I Dream Of You * Rare Works of Brian Wilson』というCD。このCDのデザインを手がけられたのが奥山さんだったとのこと。
このCDは、僕にとってはまさに驚愕の1枚でした。ブライアン・ウィルソンが関わった、聴いたこともなければ聴くすべもなかった曲のオンパレード(特に最後の「カレン」には腰が抜けました)。しかもブックレットも大充実。デザインも素晴らしい。
お二人の話の中でへえ〜っと思ったのが、このCDの番号。普通はそのレーベルで順番につけていくものなのですが、奥山さんはあえてそれを無視してつけたのがなんと「409」。久しぶりに取り出してみたら、確かにそうなっていました。
気づかなかったですね。でも、こんな遊び心大好きです。きっと気づかないところでいろんな人がされてるんでしょうけど。
気づかなかったといえば、このCDにDante & His Frendsの「Miss America」が収録されていてびっくり。ついこの間、はじめて聴いたと思ったんだけど、そうじゃなかったんだ。