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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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スタンス・ドットが見えない、スパットが見えない、ピンのはじける音が聴こえない


その作家のことを知ったきっかけは、その作家が川端康成文学賞を受賞した作品のタイトルでした。

「スタンス・ドット」

スタンス・ドット!
この言葉にものすごく反応してしまって、すぐに図書館に飛んでいき、それが収められている雑誌を借りて読みました。何と素晴らしい小説。作家の名前は堀江敏幸。このブログでも何度か堀江さんのことは書きました。本当に大好きな作家のひとりです。そのきっかけが「スタンス・ドット」でした。

それを収めた短編集がいつ出るかいつ出るかと、ずいぶん長い間待っていましたが、なかなか単行本になって発売されませんでした。
で、2年くらい待たされたある日、その「スタンス・ドット」を収めた短編集が発売されました。
タイトルは『雪沼とその周辺』。
「スタンス・ドット」に出てくるボウリング場のある小さな町を舞台にした連作集。期待に違わぬ最高のスモールタウン小説でした。
さっき確認したら、『雪沼とその周辺』は木山捷平文学賞を受賞してたんですね。わお! でした。谷崎潤一郎賞を受賞しているのは知っていましたが。でも、『雪沼とその周辺』が木山捷平文学賞を受賞したのは平成15年。そのころは木山さんの「き」の字も知りませんでした。

ところで、スタンス・ドットという言葉を聞いてそれが何であるかわかる人はどれくらいいるんでしょうか。スタンス・ドットとはボウリングの最初に立つ位置を示す印。僕は昔からボウリングが大好きで、大学時代も授業でとっていたので、その言葉も、その印の大切さもよく知っていました。
最初に立っていろんなことを確認する大事な場所。投げるときにはスタンス・ドットで立つ位置を決めたら、あとはスパットを見るだけ。
でも、今の人たちはきっとスタンス・ドットもスパットも知らない、そして見ない。見る必要がなければ知る必要もない。みんな見ているのは遠い先のピンだけ。あるいは…。

と、こんなことを書いたのは昨日久しぶりにボウリングに行ったため。
ここ数年、足や肩の故障が続いていてすっかり遠のいていたのですが、子供たち10人くらいを連れて、”おめでとう”と”さようなら”を兼ねて行くことにしました。
行ったのは近所にできたばかりの、よくテレビCMで見る全国チェーンのボウリング場。もちろん行くのは初めて。僕がよく行っていたのは駅近くの昔からあるちょっと古いボウリング場。
考えてみたらそのボウリング場は木山捷平と関係の深いあの「南畝町288」の目と鼻の先! 当時の地番で言えば南畝町275から281にかけてのあたり。いやはや何とも。

で、昨日行った新しいボウリング場はというと、ピンの背後にはミュージックビデオを映し続けてまばゆいばかりなのに、ボールを投げる付近は真っ暗。スタンス・ドットも見づらいし、スパットは全く見えない。こんなのでまともにボウリングができるわけがないですね。
もちろん子供たちは、あるいは周りのレーンの人たちも、スタンス・ドットもスパットも見ないでどんどん投げています。他の人が投げているときには、スマホを見続けている。何とも悲しい。

そして何よりも最悪だったのは、大音量の音楽が流れ続けているためにピンのはじかれる音がほとんど聴きとれないことでした。
結果は...、久しぶりというのがあったにしても最悪。こんなボウリング場、2度と行かないでおこうと思いました。

ところで、『EACH TIME 30th Anniversary Edition』に収められた「Each Times 号外」を読んでいたら、井上鑑さんが大瀧さんについてこんなことを書いていました。
僕がボーリングをしたことがないのを知っているのに、レコーディングが休みの日に連れ出し、後から「負けたんだから」と言って3000円徴収する人。

大瀧さん、野球だけでなく、ボウリングも好きだったんですね。
その好きな理由のひとつには、間違いなくストライクを出した時の、あのピンが気持ちよくはじける音を聴きたいというのがあっただろうと思います。快心のヒットやホームランを打った時の、あの快い打球音のように。
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by hinaseno | 2014-03-25 09:47 | 雑記 | Comments(0)