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by hinaseno
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無限分の1の神話


昨日は久しぶりに神戸へ。『EACH TIME 30th Anniversary Edition』が発売されたら一度、須磨海岸あたりの海を眺めながら大瀧さんの「ペパーミントブルー」を聴き続けてみたいなと。前からそんな日を作ろうと考えていました。

電車に乗って明石を過ぎて海が見え始めた時から「ペパーミントブルー」をリピート状態にして、あとは須磨海岸を過ぎて元町辺りを歩いている時も、帰りの電車に乗っている間もずっと聴き続けました。
昨日だけでも50回くらいは聴いているんでしょうね。この曲を僕は一体何回聴いているんだろう。でも、全く聴き飽きない。僕の中で永遠に輝き続けている曲。

電車の中で海を眺めながら「ペパーミントブルー」を聴いていたとき、唐突に30年近く前の記憶が蘇ってきました。ああ、あの日も同じことをやったな、と。甘酸っぱい記憶。
その日、当時は姫路でも岡山でもなく、もう少し西の方に住んでいたのですが、電車に乗って初めて神戸に向かいました。その前の夏に牛窓で出会った神戸在住の人と再会するために。本当は別の大事な用事があったのですが、それをすっぽかして。
神戸に近くなって須磨海岸が見えはじめたときに、ウォークマンで「ペパーミントブルー」を聴きました。確か5月くらいでしたが天気は快晴、空には真夏のような太陽が輝いていました。
着ていた麻のジャケットもやや濃いめのペパーミントブルー。メリケンパークとかポートアイランドあたりを歩いたかな。風はもちろんペパーミントブルー。食事をするために立ち寄った海の見えるレストランで飲んだソーダ水もペパーミントブルー...。
笑えるくらいに何もかもがペパーミントブルーの日々を過ごしていました。

帰りの電車で気がついたことですが、「ペパーミントブルー」の フレーズの最初の言葉には「ア」音の言葉が多用されているなと。大瀧さんの好きな「ア」音。その前の曲である「ガラス壜の中の船」では「イ」音や「ウ」音で始まる言葉が多用されているのとは対照的。
おそらく大瀧さんが松本さんに指示したんだろうなと思いました(CMの曲で伊藤アキラさんに指示されたのと同様に)。翳りのある「イ」音や「ウ」音で始まる言葉を多用した曲の後に明るい「ア」音の言葉を多用した曲をもってくることで、より開放的にな印象を与える。
「ペパーミントブルー」があれほど輝きを放っているのは、その前に「ガラス壜の中の船」があったからこそ。まさに「B2の理論」ですね。

さて、昨日少し触れた「木の葉のスケッチ」のカラオケバージョンのこと。
とにかくこのオケ、聴いていて最高に気持ちがいいんですね。もちろん大好きな”あのコード進行”が何度も使われていることもあるのですが。
大瀧さんはこのコード進行を使っていくつもの曲を作っています。だから、コードだけが奏でられた「木の葉のスケッチ」のカラオケバージョンで、大瀧さんの他の曲がちょこっと歌えたり。

よく知られている話ですが、「木の葉のスケッチ」の間奏の
時を刻む深い淵を
埋め尽くせる言葉はないんだね

の部分のコード進行は、大瀧さんが太田裕美さんに作った「恋のハーフムーン」のサビの
なんとなんとなくハーフムーン少しだけハネムーン
待って待って待ってKiss or No 肌寒い茅ヶ崎

と同じ。つまり「木の葉のスケッチ」のその部分のオケで、「恋のハーフムーン」のサビが歌えちゃうという。

そんなことを楽しんだ後、オケを繰り返し聴いているうちに知らず知らずのうちに本来のメロディとは違う、自分独自のメロディを勝手に作りあげるようになって、それがまた楽しくて仕方がないんですね。

この時期の大瀧さんの曲作りについては、たぶんなのですが、だいたいのメロディラインを作って、あとはそのコード進行をもとにしてオケを仕上げてから最後に改めてメロディラインを組み立てていったのではないかと思います。
確か何かの曲のオケに関する話で、そのオケから何十万、何百万というメロディラインを作ることができると言っていたように思います。その中から、あの、これしかないというメロディを紡ぎだしています。これまで何度か「引用」とか「下敷き」なんて言葉を軽々しく使ってきましたが、いろんな曲を知っているがゆえの困難な作業。

『EACH TIME』の最初の音として、初めて全国の大瀧ファンが耳にした渋谷陽一さんの「FMホットライン」でかかった曲は、オケは完璧なのに結局メロディを仕上げることができなかったんですね。あの曲、『EACH TIME 30th Anniversary Edition』のカラオケバージョンを収めたDiskにぜひボーナストラックに収めてほしかったのですが、叶いませんでした。ボツにするにはあまりにも惜しい素晴らしいもの。
あまりに豊潤なサウンドを作ったために、イメージがわきすぎて一本の線を紡ぎだすことができなかったんですね。
きっと、この「木の葉のスケッチ」のオケで曲を作ったら無限に素敵な曲ができるだろうなと思いました。ただ単にコード進行がどうなっているかだけのことではなく、それをもとにして作り上げた大瀧さんのサウンドの豊潤さに感動すら覚えました。
で、その無限の可能性の中から生み出された極上のメロディラインは、やはりひとつしかないんですね。
「20分の1の神話」ではなく「無限分の1の神話」。
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by hinaseno | 2014-03-24 09:12 | 雑記 | Comments(0)