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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

「す・す・す」「き・き・き」「だ・だ・だ」


ここ数日、忙しかったとはいえ車での移動が多かったので、ずっと『EACH TIME 30th Anniversary Edition』を聴いていました。聴いていたのはDisk 2のカラオケバージョンの方。実はDisk 1はまだきちんと聴いていません。

『A LONG VACATION』や『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』のカラオケバージョンを車で聴くときにはそれに合わせて歌うことを楽しんでいましたが、『EACH TIME』はそのオケに耳を澄ませていました。聴こえなかった音が聴こえてきたりといろんな発見があります。

1曲目の「夏のペーパーバック」のイントロは1台のチェンバロによって演奏されたバージョンが採用されているんだなとか(これはカラオケバージョンでなくてもわかることですね)、最後の「レイクサイド ストーリー」でビートルズの何かの曲のフレーズがほんの少し使われているような感じがするとか(まだ考え中)いろんな感想がありすぎるのですが、それについて全部書く時間は今のところありません。

最も印象的だったのは3つ。
1つは昨夜書いた「ガラス壜の中の船」のこと。でも、これはある程度予想はしていました。
それから3曲目の「木の葉のスケッチ」に関すること。これについては明日なるべく書こうと思います。
もう1つは”4曲目の”「魔法の瞳」のこと。
今日はこの「魔法の瞳」について。

「魔法の瞳」についてはこのブログで過去に2度書きました。
最初に書いたのは2年前のこの日のブログですね。大瀧さんの一人多重コーラスに書いていたときに少し触れました。
再来年に『EACH TIME』の30周年盤が出るときには1曲目に戻してもらいたいです

って書いています。
曲順は結局”4曲目”でした。

ちょっと興味深かったのは、カラオケバージョンだけを聴いていたらそれほど曲順の変更が気にならなかったことでした。たぶん曲順の変更の違和感は音楽だけでなく詞の物語の連続性が要因のひとつだったと気づきました。
『EACH TIME』は発売されてから本当に何度も聴きましたから、知らず知らずのうちにそれぞれの歌詞の物語をつなげた映像を作っていたようです。だから詞がないぶん、曲順の変更の違和感は意外なほどに減っていました。
なぜ「魔法の瞳」が1曲目でと希望していたかといえば、それが「出会い」の曲だったからなんでしょうね。「出会い」はやはり最初であった方がと。

曲順に関して面白かったのは、最初に発売されたLPでは「ペパーミント・ブルー」「レイクサイド ストーリー」と大きな曲がつながっていた間に「恋のナックルボール」が入り込んでいることについてでしょうか。発売前に曲順がわかったときには違和感ありまくりでした。
でも、カラオケバージョンを聴いてみると、これが不思議。
「ペパーミント・ブルー」と「恋のナックルボール」には大瀧さんの一人多重コーラス(Jack Tonesですね!)が入っていて、よく聴いたらどちらもサーフィン系。
「恋のナックルボール」に、「泳げカナヅチ君」と同じ「ウーワーウーワー」が入っていたとは。

「魔法の瞳」に話を戻します。
さきほどリンクした日のブログには「魔法の瞳」に触れた後こう書いています。
「魔法の瞳」については、またいつか。

で、僕はそれを『EACH TIME 30th Anniversary Edition』の出る今年の最初の日に書くことをずいぶん前から決めていました。でも、その前日にあの訃報を聞くことになったんですね。昨年の12月31日に書いた2度目の文章でそのことに少し触れています。
今朝ブログを書き終えて食事をして、『レコード・コレクターズ増刊』に収められた大瀧さんの『EACH TIME』に関するインタビューを久しぶりに読んで、とりあえず、まずは先日亡くなられたドラマーの青山純さん(『EACH TIME』の基音を作った人といえるかもしれません)のことと「魔法の瞳」のことを書こうと、で、その「魔法の瞳」が1曲目に収録されたLPをセットして曲が流れ始めて、パソコンに戻って電源を入れてインターネットに繋いだときに、大瀧さんの急死を知らせる第一報を目にしました。

そう、僕は大瀧さんの訃報を「魔法の瞳」を聴いていたときに知ったんです。僕にとってはハッピーな思い出がいっぱいに詰まっている曲のことを考えていたときに。

「魔法の瞳」には「恋のナックルボール」ほどではないにしてもSEがふんだんに使われています。その中には以前に作られた大瀧さんの曲にちょこっと使われた言葉をSE化しているものも多くて大瀧さんも遊びに遊んでいます。
”4曲目”のカラオケバージョンが流れ始めたとき、まず最初ヴァースの部分のハープの音にびっくり。最初は「この曲、何?」って思いました。歌入りのものでは大瀧さんの「目が合うたびに」の言葉といっしょに聴こえていたものが、言葉がないだけでこんなに印象が違うとは。ハープということもあってか、とってもクラシカル。確かハープの人も何人か集めて同時に演奏させているんですね。ちなみにこのヴァースの部分はFrankie Valli & The 4 Seasonsの「Dawn」ですね。
で、ヴァースが終わると、もうSEがあふれるほど出てきます。松本さんの詞ができあがる前から入れられていたものなのか、松本さんの詞ができてから入れたものなのか。おそらくはその両方なんでしょうけど、そのSEだけを聴いていても楽しくて仕方がない。いたずら心いっぱいの「魔法」の世界の「妖精」たちが遊びに遊んでいます。
最初に聴いていたときには「魔法の瞳」を大瀧さんの訃報を知ったときに聴いていたことなど忘れていました。

でも、それを思い出させる瞬間があったんですね。
突然予期せぬ大瀧さんの”声”が出てきたんです。もちろんカラオケバージョンを聴いていたので”声”なんか出てくるはずはないと思っていました。

出てきた言葉は「す」。
最初に左のスピーカーから「す」の声が出てきて、次に真ん中あたりで「す」が聴こえ、最後に右のスピーカーから「す」の声が出てきます。つまり、3つの「す」が左から右に流れる形。
今度は右のスピーカーから「き」の声が出てきて、さっきとは逆に3つの「き」が右から左へと流れます。
そして最後に、再び左のスピーカーから「だ」の声が出てきて、最初と同様に3つの「だ」が左から右に流れました。
「す・す・す」「き・き・き」「だ・だ・だ」

大瀧さんからの最後のメッセージが「好きだ」だったんですね。正しくは、ちょっと照れて、どもり気味の「す・す・す」「き・き・き」「だ・だ・だ」。
このとき、いろんなことを思い出してしまって、ちょっと車を運転できない状態になってしまいました。

「魔法の瞳」について今年の新年最初の日に書こうと思っていたことを最後に。
「魔法の瞳」ではこんな歌詞が出てきます。

ス・テキな夜
キ・スをして
だ・きしめながら
よ・ぞら飛びたい

実は僕が人生で初めて曲を作ったときに、この部分の詞をそのまま使いました。
詞の最初の言葉をつなげたら「スキだよ」。
Commented by Ryujin at 2014-03-23 17:43 x
私も1984年にLPを擦り切れるほど聴いていたので、この「魔法の瞳」が一曲目に来ないと居心地が悪く思えます。
あの並びが完璧だったので、バチェラーとフィヨルドを入れるならばそれぞれ夏のペーパーバックの次の三曲目、フィヨルドはラストでいいと思います。何となく、レイクサイドの彼女を探しに行く内容にも思えますので。
でも、今回の並びを聴いて思いましたが、ロンバケの際もシベリアの前にFUN×4を入れたように、大滝さんは大団円の前に軽いノベルティタイプを置きたがるのかなと思いました。それで、ナックルボールを今回あそこに配置したのかな? などといろいろ想像を張り巡らせております。

インタビューでも話されていますが、このEACH TIMEほど大滝さんが歌手としてどっぷりフューチャーされているものはありません。歌詞もほぼ松本さんの譜割り通り。得意の、日本語を分断する歌い方も数える程しかありません。クルーナーよりももっとどっしりとした歌唱法です。

だから、当時はかなり重量級のアルバムに思えましたね。レイクサイドも大エンディングでしたし。

私も車でカラオケ歌いまくっています。
やはり、ペパーミントブルーが一番気持ちいいですね。
Commented by hinaseno at 2014-03-23 19:11
Ryujin様
今日は一日「ペパーミントブルー」を聴き続けていました(歌入りです)。ただ、ちょっと「魔法の瞳」の歌入りのものを聴いたら「ブルーの〜」が入っていないオリジナルバージョン。「ブルーの〜」が悪いわけではありませんが、LPの音に馴染んだ耳には違和感を覚え続けていました。うれしい、という表現は変ですけど、昔のままの姿でもどってきてくれたことにちょっと感動しました。
by hinaseno | 2014-03-23 10:23 | 雑記 | Comments(2)