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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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とかく浮世はままならぬ 日傘さす人作る人


マキノ正博の『鴛鴦歌合戦』、最高でした。
時代劇とジャズが融合して何ともオシャレ。こんな映画があったなんて。
しかも作られたのが戦前の1939年ですから驚き。戦前といってもすでに日中戦争は始まっていて、ヨーロッパでは第一次世界大戦が勃発した年ですからね。そんな時代にこんな”明るく楽しい”映画が作られていたとは。敵となる国の音楽である最先端のジャズをふんだんに使って。

映画史的には1930年代はサイレントからトーキーへの転換期にあったんですね。
小津のサイレント映画である『生れてはみたけれど』が作られたのが1932年。で、フォスターの音楽を使った劇作品としては小津にとって初のトーキー映画である『一人息子』が作られたのが1936年。『一人息子』は戦争の気配は極力隠されていはいるものの、当時の日本の深刻な不景気が描かれていて、映画としては”暗い”。
それからさらに、おそらく景気もさらに悪化して、国民全体が大きな戦争をはっきりと意識するようになっていたはずの時期に、こんな楽しい映画が作られていたことはやはり驚かざるを得ないですね。まあ、そんな時代だったからこそ、ということもあったのかも知れませんが。マキノ正博という人のすごさに感服。

そんな時代背景は別にしても、とにかく驚きの連続。
一番驚いたのはあの『七人の侍』の志村喬が歌を歌うところ。そしてその歌のうまさ。共演のディック・ミネに歌手になるように強く勧めたとか。

さて、この映画の大瀧さんの書かれた解説、「『人の縁と時の運』(時の縁と人の運)」、ある方からデータを送っていただき、読むことができました。「人の縁(人の運)」のありがたさを感じています。
この映画が生まれるにあたって、いろんな人たちが”縁”(あるいは”運”)でつながっていくあたりの話は、まるで大瀧さん自身のことを語っているような気すらしました。もちろんご自身との類似性があってこそのこのタイトルなんでしょうけど。

一番興味深かった話は、市川春代の歌に関する話。ちょっと引用します。
”あじ”の歌といえば、この映画で個人的に感動したのは〈市川春代の歌〉です!千恵蔵のはさすがに”吹き替え”ですが、市川春代は吹き替えナシの本人の歌のようです。これがミナサン! 彼女こそ〈おニャン子クラブ〉の元祖だったんですね。実に絶妙な音程のふらつき! 今にも落ちそうで落ちない空中ブランコを見ているようなスリリング極まりない歌唱。しかし、こんな歌唱でも当時レコードを出していたといいますから、そういう意味でも”元祖・おニャン子”でもあり、さすがに初代の”江波恵子”だけあって、破天荒というか度胸満点! 私は彼女の”歌の”大ファンになりました。

このあたりの”惹かれ方”というのがいかにも大瀧さんらしいですね。その影響を多大に受けているわけでもありますが。
市川春代さん、かなりの垂れ目で、すごい美人とはいいがたい、かな。歌についても音程のふらつき具合は半端じゃない。でも、何とも魅力的なんですね、これが。特に日傘を持って歌う「色もとりどり」なんて最高。

というわけで、『鴛鴦歌合戦』、すっかり気に入ってしまったので、サントラ作りをしています。
いろいろと大変な時期なのですが、車の中で市川春代の歌に合わせて歌えたら最高に気晴らしになりそうです。
とかく浮世はままならぬ
日傘さす人作る人
歌の文句のいやがらせ
にくい人ほど愛しいわ
愛しいわ

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by hinaseno | 2014-03-10 10:38 | 映画 | Comments(0)