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by hinaseno
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ジェリー・ゴフィンのクッキーズ・サウンドと「Velvet Motel」(その2)


ジェリー・ゴフィンのクッキーズ・サウンド、といっても今聴いても、あるいは30年前の1980年代初頭に聴いても、あまりわくわくするものではありません。スペクター・サウンドやリバティ・サウンドのように、後世に大きな影響を与えたサウンドでもありません。ビートルズの登場とともに、あっさりと消え失せたサウンド(でも、けちらかした張本人がカバーしたという皮肉)。
大瀧さんがそのサウンドを使って、ソロの最初のシングルとして「恋の汽車ポッポ」という曲を作ったのが1970年代初頭。あの印象的なドラムは細野さん。で、大瀧さんがベースを弾いているという。でも当時反響を呼ぶことはなかったんでしょうね。
それから10年後に、さすがに大瀧さんとしては同じようなことはできないと考えられただろうと思います。でも、大瀧さんがクッキーズ・サウンドを愛していたことは確かなこと。なんとかそれを現代的な形で蘇らすことはできないかと、試行錯誤して生み出されたのが「Velvet Motel」ではないかと考えています。

クッキーズ・サウンドの魅力は、なんといってもリズムの面白さ。一見すごく単純なようで、よく聴いてみるとかなり複雑。このあたり、ジェリー・ゴフィンの指示なのか、ドラマーが独自にやっていたのか。
ちなみにドラマーはGary Chester。ニューヨークのハル・ブレインと呼ばれる人で、大瀧さんの大好きなドラマーですね。以前ある方から教えていただいた「You’re Under Arrest」に関する大瀧さんの文章にも登場しています。
この人はニール・セダカの「Breaking Up Is Hard To Do」でもドラムをたたいています。ちなみに、「Breaking Up Is Hard To Do」でバック・コーラスをしているのがクッキーズ。大瀧さんはこういうつながりを見逃すはずはありません。というわけで、おそらく「Breaking Up Is Hard To Do」の(あるいは、その続編的な「Next Door To An Angel」の)サビの部分で使われたフレーズを”応用”して、「空っぽな瞳をしてる...」の部分を入れたのではないかと思います(「Breaking Up Is Hard To Do」のサビの部分は、松田聖子の「いちご畑でつかまえて」で、ほぼそのまま使われています。他にもいくつか...)。

というわけで、ニール・セダカの比較的新しい「Love Will Keep Us Together」なんかを参考にしつつ、「Velvet Motel」のあの特徴的なリズムを作ったのかもしれません。で、そのリズムをギターに刻ませて、さらにそこに例の黄金律をはめこんだという。
以上が僕の仮説です。
都会的な洗練されたサウンドの中に、どこかなつかしさ(原体験がないのに感じられるなつかしさ)を感じるのは、そこにひっそりと、でも確かな裏付けのある形で埋め込まれたクッキーズ・サウンド(プラス・ニール・セダカ・サウンド)のせいだろうと。

というわけで、長らく書いてきた『A LONG VACATION』の”キャロル・キング組曲”の話も今日で終わります。最も思入れの深い3曲についていろいろと書くことができて僕なりには満足しています。
他の曲に関してはまたいつか。

最後に一枚の写真を。
この写真は「Breaking Up Is Hard To Do」のセッション風景。コーラスの3人の黒人女性はもちろんクッキーズ。で、背後に小さく見えているドラマーがGary Chester。
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by hinaseno | 2014-02-14 09:05 | ナイアガラ | Comments(0)