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「カナリア諸島にて」の話をもう少しだけ


今日、2月3日はバディ・ホリーの命日。『アメリカン・グラフィティ』になぞらえていえばロックンロールの命日ということになるんでしょうか。

バディ・ホリーというミュージシャンの名前を知ったのも大瀧さん。
何かの雑誌で「A面で恋をして」は”バディ・ホリー・ミーツ・フィル・スペクター”というイメージで作ったというのを読んだのがきっかけ。その「A面で恋をして」をいっしょに歌った佐野元春さんもバディ・ホリーの大ファンであることがわかり、まだ、バディ・ホリーの音楽を全然聴けてなかったのに、佐野さんがバディ・ホリーをまねてかけていたような眼鏡をかけたりしました。と言いつつ、この話、ずっと前に書きましたっけ?

「A面で恋をして」が”バディ・ホリー・ミーツ・フィル・スペクター”ならば、「カナリア諸島にて」は”キャロル・キングの「Go Away Little Girl」タイプの曲・ミーツ・ビーチ・ボーイズ”だったんでしょうね。
考えてみると、キャロル・キングがポップスの世界に導入したといってもいいかもしれない、あのポップスの黄金律を、さなざまな人たちがまねをしまくった中で、不思議にもビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンはそれを使った曲を作っていない(たぶん)。
その意味では、すごく新鮮、というか見事な組み合わせ。松本隆さんのリゾート感あふれる詞を読んでビーチ・ボーイズのサウンドを使おうとひらめいたんでしょうか。ただ、純カラをよく聴くと、スペクター要素はたくさん入っていますね。正確にいえば63年のクリスマス・アルバムまでのスペクター・サウンド。後半のストリングスでは「Sleigh Ride」で何度も聴かれるメロディが。
まあ、考えてみると、大瀧さんがイメージしたはずのビーチ・ボーイズの「Please Let Me Wonder」が、そもそもブライアンがロネッツに歌ってもらおうと思って、ブライアンの大好きな「Be My Baby」を模して作った「Don’t Worry Baby」を発展、深化させたもので、しかもバックで演奏しているのはスペクターと同じレッキング・クルー。録音スタジオもいっしょでしたっけ。そんなことは大瀧さんも百も承知。そんな流れやつながりも当然、わかるように入れこんでいるんですね。

ところで、「カナリア諸島にて」でずっと気になっているのは、「夏の影が砂浜を急ぎ足に横切ると...」のあたりで流れ始めるストリングスによって奏でられる別のメロディ。このストリングスは前田憲男さんですが、前田さんのアドリブなのか大瀧さんが指示されたものなのか。大瀧さんが指示されたものだとすれば、絶対に何かの曲のメロディをとっているはずなのですが。「影」ということで、プロコル・ハルムの「青い影」からとったのかなと思ってみたり。

もうひとつは、最後に追加されたという、エンディングの長いピアノの独奏。弾いているのは松任谷正隆さんですね。まるで、アルバムの最後の曲のような雰囲気。なぜこれを付け加えられたか、謎といえばなぞ。以前した野球の喩えで言えば、1番、2番、3番が塁に出て、さあ、4番バッター「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」の登場、ではなく、3番バッター(長嶋ですね)がホームランを打って一応塁上はきれいになりました、という感じでしょうか。
僕は勝手に『A LONG VACATION』の初めの3曲を、大瀧さんなりのキャロル・キング組曲と考えています。それぞれに見事なほどに素晴らしくて、アルバムの最初にこんなにも素敵な曲が3曲も並んでいるものを他には知りません。でも、たぶん大瀧さんは、キャロル・キングへのオマージュとして、その3曲を総体としてとらえ、アルバムを作成する段階で、その3曲目である「カナリア諸島にて」の最後に、その組曲のエンディングをはっきりと示したのではないかと思います。
あのエンディングがあってこそ、次の「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」のイントロの、コミカルなピアノの演奏へ違和感なくつながっていくんですね。

次回は、キャロル・キング組曲の1曲目の「君は天然色」の話になると思います。

最後に、例の黄金律を使った曲をまた2曲ほど紹介しておきます。「君は天然色」にも少しつながります。
1曲目はPolly Brownが歌った「So Much In Love」。山下達郎さんがカバーしたことでも有名な曲ですね。オリジナルはThe Tymesというグループが歌っているのですが、見事すぎるアレンジ。あの黄金律がシャッフル・ビートと相性抜群であることがよくわかります。



それから2曲目はBilly Furyの「I'd Never Find Another You」という曲。曲を書いたのはキャロル・キング。1961年につくられているのですが、彼女があのコード進行を使った最初期の曲ではないでしょうか。
メジャーコードでのクリシェの後に、マイナーコードでのクリシェを使う感じは「君は天然色」にとてもよく似ています。


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by hinaseno | 2014-02-03 09:33 | ナイアガラ | Comments(0)