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by hinaseno
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逮捕しちゃうぞ(You're Under Arrest)


昨日紹介したThe Shirellesの「You're Under Arrest」について本当にうれしい情報をいただきました。この曲について大瀧さん、以前ご自身のサイト「Ami-go Gara-ge」で書かれていたんですね。数年前、大瀧さんは”怒濤の更新”をされている時期がありました。僕はたぶん、少し遅れてそれに気づいて、あまりにも内容が濃いので追いつくことができず、まあ、ゆっくりと時間のあるときに、なんて考えていたら、ある日突然全部消されていたという。
「いつまでも あると思うな...」
という言葉をつい忘れてしまっていました。そこに、The Shirellesの「You're Under Arrest」が紹介されていたんですね。それを昨日拝見させいただきました。心から感謝申し上げます。

The Shirellesの「You're Under Arrest」 は、大瀧さんが当時よく聴いていたネット・ラジオから流れてきて知ったそうです。その瞬間大瀧さんが思ったのは...
「んんん?!これ、オレが作った?!」

だったそうです。「“全体的に”私のテイストと全く同じ」だと。

ちなみに僕はこの曲を日本盤も出たACEのコンピレーションCD『KISS’N’TELL』で知りました。1993年に出たもので、たぶん発売されてすぐに買ったと思います。大瀧さんよりも先に知ったことになりますね。他のコンピレーションCDには絶対に入らないような、作者不明のマイナーな曲が多いのですが、結構いい曲が多いです。
昨日は紹介しませんでしたが、このCDで知ったアネットの「Better Be Ready」も、例の黄金律を使った素敵な曲。

大瀧さんの文章を紹介する前に、ポップスの黄金律について少し。
これについては達郎さんが10年ほど前の「サンデー・ソングブック」のキャロル・キング特集で、クリシェという言葉とともに少し説明をされていたみたいですが、僕はそれを聴けなかったので、達郎さんがどこまでの話をされていたのか知りません。「カナリア諸島にて」のことにも触れられたみたいですが、コード進行まで説明されたんでしょうか。

クリシェといってもいろいろあって、僕はそれを詳しく説明するだけの知識を持っていないのですが、大瀧さんのいう「ポップスの黄金律」に限定すれば、「メジャー→シックス→メジャーセヴンス→シックス」となるものが最も多い形。「Go Away Little Girl」や「カナリア諸島にて」をはじめ、昨日紹介したもののほとんどはこのコード進行を使っています。
それからそのバリエーションとして「メジャー→メジャーセブンス→シックス→メジャーセヴンス」となる形のものもよく見かけます。「君は天然色」や「Velvet Motel」はこちらのコード進行を使っています。
さらには、このメジャーコードでのクリシェの後に、マイナーコードで「マイナー→マイナーメジャーセブンス→マイナーセブン→マイナーシックス」なんてのを付け加えられるともうたまらなくなります。「Go Away Little Girl」で使われています。そして「君は天然色」でも。「マイナーメジャーセブンス」なんて魅力的なコードを知ったのも「君は天然色」でした。

問題はそのポップスの黄金律の使い方。いろいろあるんですね。先日紹介した文章で最後に大瀧さんはこう書いていました。
それ(=ポップスの黄金律)を〈使うか、使わないか〉の問題ではなく、どう使うかが最大のポイントで、その料理の仕方、見事な使い方をしたものにのみ〈ポップス〉という名称が与えられる、というのが私の解釈です。

この黄金律の使い方を大別するとこうなるでしょうか。

(1)イントロのアレンジだけで使う。
(2)曲中のメロディで使う。
(3)曲中のアレンジで使う。
(4)曲中のメロディとアレンジの両方で使う。

一番多いのは(1)の「 イントロのアレンジだけで使う」で、大瀧さんの作ったものでいえば「冬の妖精」がそうですね。(4)の「 曲中のメロディとアレンジの両方で使」っているのが「君は天然色」。そして「カナリア諸島にて」は(2)と(3)を使い分けています。「Velvet Motel」は(1)と(4)。

実は、キャロル・キングの曲は「Go Away Little Girl」を除いては(2)のメロディだけで使われていることが多く、ちょっとわかりにくいといえばわかりにくい。そのためにネット上で確認できるコード譜は「Go Away Little Girl」ですら、正しいコードが書かれていません。「カナリア諸島にて」でも、メロディ部分だけを聴くと、そのコード進行が使われていることをわからない人にはわからない。

一番わかりやすいのはやはりメロディとアレンジの両方で使われている「君は天然色」ですね。「くちびるつんととがらせて」の部分です。
ずっと様々なCMで使われ続けてきている「君は天然色」の、曲の使われている部分が、サビではなく、曲の最初の「くちびるつんととがらせて」あたりで終わるのは、大瀧さんの意図、つまり大瀧さん自身がキャロル・キングで学んだポップスの黄金律を知ってほしいという強い思いがあったように思います。

前置きが長くなってしまいましたが、The Shirellesの「You're Under Arrest」は昨日も書いたように、イントロでも、Aメロでも、Bメロでも、サビ(ブリッジ)でも、これでもかっていうくらい使ってるんですね。アレンジはほぼ全編、メロディもサビ(ブリッジ)で使われています。さすがに大瀧さんはここまではされていませんが、でも大瀧さんの曲かと思ってしまう瞬間はいくつもありますね(ご自身が思ったくらいですから)。

というわけで、大瀧さんがサイトで書かれていた文章を全文引用します。
タイトルは「 逮捕しちゃうぞ(You're Under Arrest)」。もちろん邦題をつかられたのは大瀧さんです。その前に改めて The Shirellesの「You're Under Arrest」を貼っておきます。昨日はうれしくってこればっかり聴いていました。



逮捕しちゃうぞ(You're Under Arrest)」 (2011.05)

 今年(2011)の『新春放談』では、最近はネット・ラジオのオールディーズ・チャンネルばかり聞いていると言ったと思います。(“思う”、というのは、いつも長々と話したものの編集版がオン・エアーされているので、どこが使われたのか、使われていないのかの、覚えがないのであります)

 90年代中期、CompaqのPDAと通信カードで聞いていたあの頃に比べると、昨今のネットラジオ局の数はもう“宇宙規模”ですナ!

 1962年から1966年までが私のPOPS黄金時代だったので、その時代の曲をかけるステーションを聞いていますが、当時のヒット曲なら知らないものはない!と“自慢・自認”していたワタシも、知らない曲が沢山あって、それまでのプライドはズタボロになっております。特に英国のステーションでかかる曲は殆ど聞いたことのないものばかりで、世界は広かったんだナー、と改めて思うことを《蛙(かはづ)の再認識》と名づけました。

 先月、流れて来た曲を聞いて、「んんん?!これ、オレが作った?!」と“自分で”思った曲がありました。私のどの曲、というのではなく“全体的に”私のテイストと全く同じなのであります。

モチロン!シレルズのこの曲の方が何十年も前に出来ていますので“私の曲に似ている”などという発言は“不届き千万・リターンツーセンダー”なわけです。しかし私がこの曲を聞いたことがなかったと言っても、イマドキの人には「信じてもらえないかもしれないなぁ・・・」などとも思いました。(蛇足ながら、このイントロのコード進行が使われている曲は100曲以上はラクにあります)

 調べてみると、シレルズの『Lost and Found』というアルバムに収録されているというので早速CDを注文しましたが、未発表・レアものを集めたアルバムでした。

 それにしても70年代、ラジ関時代はレアものを探すのにどれだけの時間とお金を費やしたことか・・・。滅多に聞けなかったので当時の日本洋楽界では“紹介する”ことへの要望とその意義がありました。しかしこのネット時代、ポット出も鉄瓶出しも渾然一体となっている世界では、蘊蓄家“ではない”人を探す方が一苦労です。“単なる”紹介、というのは、かなり以前からではありますが、その役目を終えているということなのでしょう。

 それにしてもこの曲、セダカ調のテンポのいい曲でウキウキして来ますが、このドラマーはGary Chesterでしょうか、こういうドラミングで育ったんです、ワタシ。(このテンポをミディアムにすると『CHAINS』になります。時々Buddy Saltzmanでは?と思う場合もあり、NY系のドラマー判別はムズカシイのです)

僕はなるべく「蘊蓄家」にならないように心がけてはいるのですが、「“単なる”紹介」って難しいですね。
ところで「You're Under Arrest」って、西部劇で保安官がよく言う言葉。一番好きなのはジョン・ウェイン主演の『リオ・ブラボー』の冒頭、額から血を流しながらジョン・ウェインが言う場面。
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by hinaseno | 2014-02-02 09:42 | ナイアガラ | Comments(0)