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by hinaseno
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「恋するカレン」について語るときに、僕の語ること(3)


今日、1月19日は、31年前の1983年に『EACH TIME』の最初の曲を録音し始めた日。最初に録音した曲は「夏のペーパー・バック」。31年前の今日がどんな日だったか知りませんが、今日みたいに寒い日に、あの夏の曲を録っていたとは。

ところで、最近は『A LONG VACATION 30th Anniversary Edition』に収められた純カラばかりを聴いているのですが、もし、この曲に対する何の先入観も持っていない人が、この純カラの音を聴いたら、果していつの季節のどんな風景が浮かび上がってくるのだろうかと、ちょっと考えていました。きっと、あの永井博さんの描いたジャケットも、松本隆さんの詞のついた歌がなくても、海の見える夏の風景と、雪の降るクリスマスの季節の風景にまっ二つに分かれるのではないでしょうか(YouTubeを見ても、歌が入っているものでさえ、夏の映像と冬の映像に分かれています)。真反対の季節の風景を想起させる曲。「恋するカレン」の最大の魅力はそこにあるように思います。
全体の音像的には、もろにスペクター・サウンド(スペクターを超えていますが)なので、僕なんかはどうしてもスペクターのアルバムの中で最もよく聴いたクリスマス・アルバムにつながってしまうのですが、そんな先入観や体験がなくても、ハリウッド的な、夢のようなクリスマスの風景が浮かび上がってくるような気がします。そうだからこそ、スペクターのクリスマス・アルバムは、数あるクリスマス・アルバムの中で最大の評価を受け続け、その後のいろんなミュージシャンによって、模倣され続けてきたように思います。
そんな、人の心を根源的に温めてくれるような音楽でありながら、一方でじめじめした日本の夏の空気をふっとばしてくれるような清涼感を含み込んでいるんですね。本当に不思議な曲。

正直、僕はずっと、大瀧さんのこの「恋するカレン」に対する”抵抗感”の影響もあったためか、実は『ロンバケ』の中でこの曲を最も遠ざけてしまっていたのですが、一昨年に、大きな声では言えない”ある音源”を聴いて(といっても聴き取る耳があれば、きちんと聴き取れたんですが)、衝撃を受けてしまったんです。そうだったのかと。
で、実はそれに関しては、以前、ちょこっと触れていたのですが(自分で書いていたこと、忘れてました)、その時は第一印象だけでさらっと書いていたので、改めて。

それはコーラスに関する部分。そう、この曲には女性コーラスとともに、大瀧さんの言葉を失うほど素晴らしい一人多重コーラスが入り込んでいるんですね。特に、昨日触れた”小ネタ”に続く最後のサビの部分で聴かれるコーラス。
この音源の2:44あたりからの部分。
Oh! KAREN 誰よりも君を愛していた
       心を知りながら捨てる
Oh! KAREN 振られたぼくより哀しい
       そうさ哀しい女だね君は...

と、歌われる言葉の背後で聴こえるコーラスをどれだけ聴き取ることができるでしょうか。



まず、大きく聴こえるのは女性コーラス(シンガーズ・スリーですね)による「シャ・ラ・ラ(あるいはシャ・ナ・ナ)」というコーラス。その背後で微かに聴こえるのが「ウ〜」という、明らかに大瀧さんの一人多重コーラス(Jack Tonesですね)。よく聴いていると、それには「恋するカレン」とは別のメロディが付いていることがわかります。そのメロディは何だろうかとずっと考えていたのですが、わからない。何かもととなるものがきっとあるような気がするのですが、大瀧さんが作り出した独自のメロディなのかもしれません。ただ一つ言えるのは、それがビーチ・ボーイズ風の、具体的にいえばこの「Hushabye」に聴かれるようなメロディのついたコーラス。ブライアン.ウィルソンのファルセットが最高です。



「Hushabye」は、ホワイト・ドゥーワップの代表的なグループであるThe Mysticsのカバーなのですが、ビーチ・ボーイズ風のコーラスとなると、これってことになりますね。小西康陽さんがプロデュースした須藤薫さんの「春の陽射し」にも、まさにこの「Hushabye」風のコーラスが出てきます。
「恋するカレン」に、夏の清涼感を感じさせていたものがあるとすれば、きっと、サブリミナル的に聴こえ続けていた大瀧さんの一人多重コーラスによるビーチ・ボーイズ風コーラスだったんですね。

女性コーラスによる「シャ・ラ・ラ(あるいはシャ・ナ・ナ)」と、ビーチ・ボーイズの「Hushabye」風のコーラスを融合したものといえば、まさにバリー・マンが作った曲であるんですね。僕が死ぬほど好きな曲でもあるのですが。
B.J.トーマスの歌った「Rock And Roll Lullaby」。この曲の2:25あたりからそのコーラスが聴こえ始めます。



ちなみにこの「Rock And Roll Lullaby」の女性コーラスは、あのダーレン・ラブのいたThe Blossoms。ただし、最初にコーラスを依頼したのは、なんとあの(「あの」が多すぎますね)The Shirellesだったとのこと。でもThe Shirellesに断られたのでThe Blossomsになったそうです。ナイアガラつながり的に言えば、The Blossomsの方がずっとよかったですね。大瀧さんの曲のバックをずっと務めていたシンガーズ・スリーは和製ブロッサムズと呼ばれていましたから。

さらに興味深いのはビーチ・ボーイズの「Hushabye」風のコーラス。実はバリー・マンはこの曲を作ったときに、初めからビーチ・ボーイズ風のコーラスを入れることを考えていたんですね。
で、バリー・マンがコーラスを頼んだのが、まさにブライアン・ウィルソン。
ところが録音機材を持ってロサンゼルスに行ったらブライアンはどこかにいなくなっていたとのこと。まあ、「Rock And Roll Lullaby」が録音された1972年頃というのは、ブライアンはビーチ・ボーイズのアルバムにすら満足に曲がかけない状態になっていたときですから。
で、Ron Licklinという人を中心とするスタジオ・コーラス・グループにビーチ・ボーイズ風の、つまり、もろ「Hushabye」風コーラスをさせたんですね。
ただ、ここで、えっと思うような人がコーラスに参加します。
もちろん大瀧さんはB.J.トーマスのアルバムのクレジットに書かれたその人の名前を見逃すはずはありません。
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by hinaseno | 2014-01-19 10:19 | ナイアガラ | Comments(0)