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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno
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「恋するカレン」について語るときに、僕の語ること(1)


「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のバリー・マン特集を聴いてみて興味深かったのは、大瀧さんはバリー・マンの”大作”をあまり好まないということでした。1963年までに作られたような”小品”が好みなんですね。大瀧さんは基本的には”小品”好きであるということは、きちんとおさえておかなくてはならないことのように思います。
で、バリー・マンの曲の大瀧さんの好みの限界が1964年に作られたフィル・スペクター関連の大作。大瀧さんがとりわけ好きなのはロネッツの「Waking In The Rain」。



そして、たぶん限界ぎりぎりにあるのがライチャス・ブラザーズの「You've Lost That Lovin' Feelin'」。



「恋するカレン」は、大瀧さんの許容できるバリー・マンのぎりぎりのところにある曲をイメージして作られたもの。いや、昨日引用した大瀧さんの言葉の中に含まれている”いらだち”のようなものを見ると、大瀧さん的にはちょっと許容範囲を超えた部分があったのかもしれません。
表現は悪いのかもしれませんが、”ど”演歌や”ど”フォークが嫌いなのと同様に、”ど”バリー・マンは、好みでないんでしょうね。嫌いといってもいいのかもしれません。それは、大瀧さんの「普動説」の言葉を使えば「極右」に属する音楽。笑いもユーモアも諧謔性もなく、情緒にだけ訴えかけるような音楽を大瀧さんは評価しないんですね(このあたりのことは、「ゴー!ゴー!ナイアガラ」で、キャロル・キングやエリー・グリニッチが2週にわたって特集されているにも関わらず、バリー・マンは1週だけしか特集されていないことにも表れているように思います)。
逆に言えば、昨日図示したエリー・グリニッチ側の、つまり左派の側は、極左も含めてOKなんですね。実際、「〜音頭」など、極左的音楽はいくつも作られています。でも、そういうのって日本ではちっとも評価されない(ことも十分分かった上で作っている)。

さて、「Waking In The Rain」と「You've Lost That Lovin' Feelin'」をイメージして作られたであろう「恋するカレン」。
でも元ネタとして最もよく語られるのはこのアーサー・アレクサンダーの「Where Have You Been (All My Life)」。作曲はバリー・マン。



この曲が元ネタとなっていることを何かで知って、初めてこれを聴いたときにはやはりびっくりしました。曲の展開も含めて、そのまんまじゃないかと。でも、改めてよく聴くとメロディは似てるようで全然似てない。サビに向かう部分はそっくりですけど。

それから、サウンド的にはこのウォーカー・ブラザーズの「The Sun Ain't Gonna Shine Anymore」。



歌に入る直前の、深いドラムの聴かれるあたりの音像はそっくり。でも、この曲はもともとフランキー・ヴァリの歌った曲のカバーで、アレンジも結構似ています。ただ、ウォーカー・ブラザーズの方は、たぶん「You've Lost That Lovin' Feelin'」のサウンドを強く意識して、しかも大瀧さんの「恋するカレン」同様にエコーが深いので、どうしても似た感じになってしまうように思います。だから、ウォーカー・ブラザーズの「The Sun Ain't Gonna Shine Anymore」を元ネタと言い切ってしまうのは、ちょっと知識のなさをさらけだしてしまう気がします。「You've Lost That Lovin' Feelin'」のサウンドを下敷きにした曲は、山のようにありますから。

実は「恋するカレン」には、大瀧さんがはっきりと意識して入れこまれているバリー・マンの曲があるのですが、それは誰も触れていないように思います。もちろんネット上の書き込みがなくても気づいている人は何人もいるとは思いますが。
おそらくそれは、大瀧さんの許容できるバリー・マンの限界の曲。"大作"志向が進む1964年以降のバリー・マンの作品にはあまりいい印象を持たなくなっていた中で、突然、許容範囲内に入ってきたんでしょうね。その曲は、バリー・マンの数ある曲の中で僕が最も好きな曲でもあるのですが。

ちょっと長くなってしまったので、続きはまた後日。

今日の最後は、モメカルの演奏した「恋するカレン」を貼っておきます。いや、本当に見事というほかありません。大瀧さんの"ゆらぎのあるメロディ"をきちんと再現しています。


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by hinaseno | 2014-01-17 09:19 | ナイアガラ | Comments(0)