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アゲインで弦楽四重奏による小津安二郎の「早春」を聴く(2)


入口に通じる階段を下りて、いよいよ念願のアゲインの店内へ。
石川さんとの待望の対面です。まあ、僕の方は何度も石川さんの写真やら映像を見ていたので、見慣れた石川さんがそのまま目の前にいらっしゃったのですが、石川さんは僕を見て「ちょっとイメージと違った」とのことでした。どんなイメージを持たれていたのやら。ただ、初対面とはいえ、それ以前に電話やメールのやりとりをさせていただいていたので、旧知の間柄のように普通に話をすることができました。
とりあえずコーヒーをいただき、それからお腹がすいていたので何かをいただくことに。
石川さんのお店のメニューは石川さんの人柄そのままに、工夫とこだわりと、そしてユーモアのこもったものでしたので、どれにしようかと悩んだのですが、結局注文したのは「アゲインしるこ〜バナナ入り」。
なんと大瀧さんも初めて店にいらっしゃったときに注文されたのも、この「アゲインしるこ〜バナナ入り」だったそうです。ただし、大瀧さんはこの一言を添えられたそうです。
「バナナ抜きで」

食事をしながら、初めて店にやってきた人には恒例である蓄音機を聴かせていただきました。1曲目は僕のリクエストでリッキー・ネルソンの「ロンサム・タウン」。もちろん死ぬほど好きな曲なのでCDだけでなくレコードも持っているのですが、SP盤で聴く音は全然響きが違います。石川さんがいわれるには、一番いいのは屋外で聴くことだそうです。そういうイベントもされたことがあるとのこと。
それからエルビスやドリス・デイの歌ったハリー・ウォーレンの曲を聴きながらレコードの歴史を聴かせていただきました。知っているようで全然知りませんでした。
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時間はあっという間にすぎ、間もなくモメカルがやってきてリハが始まることもあり、僕もホテルのチェックインをしなくてはならないので、また夜に、ということで店を出ました。

次に行ったのはもちろん上のペット・サウンズ。
その際、石川さんがいっしょについてきていただいて、店長の森勉さんに紹介していただきました。
ペット・サウンズの森勉さんも、僕のような音楽を愛するものにとっては雲の上のような人。大好きなビーチ・ボーイズのアルバムのタイトルそのままの名前の店があることを知ったのは何年前のことやら。そしてその店長の森さんが雑誌等に書かれたものもどれだけ読んできたことやら。
僕が80年代の中頃にビーチ・ボーイズというグループに興味を持って、でも当時日本でビーチ・ボーイズなんて全く語る人がいなかったとき、ある日、『レコード・コレクターズ』という雑誌でビーチ・ボーイズの特集がされたのを何かで知りました。1988年10月号。これが僕がいちばん最初に買った『レコード・コレクターズ』。それから約30年、この雑誌は買い続けました。ちょうどブライアン・ウィルソンが復活して、ソロ・アルバムを出したのをきっかけにビーチ・ボーイズの特集がされたんですね。ビーチ・ボーイズの特集は翌11月号でもされています。
この1988年11月号の特集の最初に文章を書かれているのが大瀧さん。タイトルは「ブライアンのアルバムの向うに聞こえるビーチ・ボーイズ」。これが涙なくして読めないもの。大瀧さんもこんなことを書いています。
Melt Away”は長期間活動を休止している孤独な者にとっては涙なしには聴けない曲だ。〈世界は私がどうであろうと気にしてくれるわけでもないし、私を待っていてくれているわけじゃない〉という一節には感情を動かさずにはいられない。

「長期間活動を休止している孤独な者」なんて書かれていますが、実際にはこのときには『EACH TIME』から、まだほんの4年ほどしか経っていません。それがまさか...。
で、この大瀧さんの書かれた文章の後に森さんの「『スマイル』、完成予想アルバム・レビュー」という文章が載っています。この文章を読んで僕は初めてビーチ・ボーイズに『スマイル』という幻のアルバムがあったことを知ります。そして同時に森勉という人の名前をしっかりと頭に刻み込みました(森さんは10月号でも記事を書かれています)。
このとき、森さんもまさか後にブライアン・ウィルソンが『スマイル』のアルバムを出し、さらにはビーチ・ボーイズの『スマイル』が思ってもいなかったでしょうね。森さんは最後にこんなことを書かれています。これが素敵なんですね。
僕自身は『スマイル』は幻のままでも...と思い始めている。相手が素晴らしいと分かっていれば、プラトニックな恋愛のように決して実体に触れることもなく、一生思いを寄せ続けるのもいいんじゃないかと。

さて、その森さん。もちろんお顔は何度も写真等で見させていただいていましたが、実際にお会いしても本当に穏やかな方で、気軽に写真も撮っていただきました(写真を撮っていただいたのは店員の東尾沙紀さん。東尾さんの書かれたものもペット・サウンズのブログでずっと読んではいたのですが、抱いていたイメージとは全然違って、とても日本的な清楚な方でした)。僕が大瀧さんの大ファンであることは石川さんから聞かれていたようで、大瀧さんとのいくつかのエピソードや、音楽のこと、武蔵小山という町のことをいろいろとうかがうことができました。お店も森さんの人柄そのままに穏やかな空気にあふれていました。こんな店が近くにあったら最高なのに。
ちなみに店内には大瀧さんや達郎さんのコーナーが目立つように作られていたり、びっくりしたのは村上春樹関連の音楽のコーナーまでありました。森さんの息子さんである陽馬さん(今回はお会いできませんでした)が確か村上さんのファンなんですね。

店内に飾られているものもすごいものばかりなのですが、最高なのはやはりこれでしょうか。
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大瀧さん、佐野元春さん、杉真理さんの直筆サイン入りのボード。『ナイアガラ・トライアングルVol.2』のときのものですから、もう30年の月日が流れていて、ピンクもかなり色あせているのですが、これを見られた大瀧さんは「色あせているからこそ、価値があるんだよ」とおっしゃられたとのこと。大瀧さんのサインは右上。

ちなみに僕はペット・サウンズに計3回立ち寄ってCD2枚と「VANDA」という雑誌を買いました。この写真は僕がオリオールズというグループの今年出たCDを買っているのを石川さんが知らないうちに撮られたもの。記念なので超小さく貼っておきます。手前が森さん、そして僕に対応していただいているのが東尾さん。
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by hinaseno | 2013-12-16 09:47 | 雑記 | Comments(0)