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Talks About Music, Books, Cinema ... and Niagara


by hinaseno

アル・カイオラ


アル・カイオラ。
この不思議な名前を初めて耳にしたのは今年になってからのことでした(初めて耳にしたときは、アルとカイオラの間で名前の切れ目があることすら知りませんでした)。
きっかけは、いつものことですが大瀧詠一さん。今年の春に放送された「スピーチ・バルーン」の小林旭特集の中でのこと。西部劇の音楽が日本の歌謡曲シーンに与えた影響を語られる中でかかったのが「落日のシャイアン」という曲でした。これがとにかく素晴らしかった。この曲のギターを弾いていたのがアル・カイオラだでした。



ジョン・フォードが作った最後の西部劇「シャイアン」の挿入歌。僕は西部劇の(遅れてきた)大ファンなのですが、まだ「シャイアン」は見たことがなかったので、この曲を聴いたのは初めてでした。

それから、しばらくしてアゲインの石川さんに「ゴー!ゴー!ナイアガラ」のリーバー=ストーラー特集を送っていただいて、リーバー=ストーラーの曲をいろいろと聴く日々が続いていたとき、大瀧さんの「ゴー!ゴー!ナイアガラ」ではかかっていませんでしたが、山下達郎さんの「サンデー・ソング・ブック」のリーバー=ストーラー特集でもかかったこのジョニー・マティスの歌う「An Open Fire」という曲のことを思い出しました。達郎さんと同じように、イギリスのエースから出たリーバー=ストーラーの作品集に入っていて、初めて聴いてあまりにも素晴らしくてびっくりした曲でした。そのギターを弾いていたのがアル・カイオラだと気づいたのでした。



で、昨日、フィリピン近海の地震のために放送が流れてしまったため1週間待たされることになった(結果的には幸せな1週間でしたが)大瀧さんの「アメリカン・ポップス伝パート2」の最終日を聴いてびっくりしました。自分にとって耳に馴染んだこの曲もあの曲も、ギターを弾いていたのはアル・カイオラだったんですね。

まずはボビー・ダーリンの「Queen of The Hop」。ボビー・ダーリンをロックン・ローラーとして決定づけた曲として。それからバディ・ホリーの「Rave On」のギターもアル・カイオラだと知ってさらにびっくり。大瀧さんはここでアル・カイオラはニューヨークにおける最初のロックンロール・ギタリストだと説明されます。

でも、驚きはその後に更に大きくなります。かかったのはポール・アンカの「Diana」。ここで印象的なギター・フレーズを弾いているのがアル・カイオラ。ちなみにこの曲のプロデューサーはドン・コスタ。
ここから、そのギター・フレーズの使われた曲が次から次にかかります。これがもうすごすぎて言葉になりませんでした。そういえば同じようなフレーズだったなと後でわかったことばかり。
ボビー・ダーリンの「Dream Lover」、そしてニール・セダカの「Oh! Carol」。
実は僕は今回のポップス伝パート2の最後の曲は、このニール・セダカの「Oh! Carol」だと、勝手に予想していたのですが、こんな形で出てくるとは思ってもいませんでした。
それからキャロル・キングの「Under the Stars」、クレスツの「The Angels Listened In」、九ちゃんのカバーでも有名なジミー・ジョーンズの「ステキなタイミング」、ブライアン・ハイランドの「Four Little Heels (The Clickety Clack Song)」などが続けさまにかかります。もう本当に言葉を失いました。(ベリー・ゴーディーが作った曲と、「極めつけは」という大瀧さんの言葉とともにかかった曲はわかりませんでしたので、あとで調べます)

大瀧さんはここで改めて「このサウンドが60年代ポップスということになったんですね、で、原点が『ダイアナ』でドン・コスタでアル・カイオラだったと」と語られます。なんとなくアル・カイオラは地味に映画音楽やジャズの分野でギターを弾いているだけの人かと思っていましたが、全然そんなことなかったんですね。
60年代ポップスというと、どうしてもスペクターのレッキング・クルーの方に目がいってしまいがちですが、アル・カイオラというギタリストの存在は驚きの"再"発見でした(今回は結局、スペクターの「ス」の字も出ませんでした。出てきそうなところはいくつもあったのですが)。

改めてアル・カイオラがギターを弾いている60年代ポップスをネットでチェックしてみたら、めくるめくような素晴らしい曲のオンパレード。
どうやら今年の残りは、音楽の分野ではアル・カイオラを探索する日々が続きそうです。
とっても楽しみですね。

大瀧さんに心から感謝します。

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by hinaseno | 2012-09-08 08:47 | 音楽 | Comments(0)